糖尿病の食事療法

糖尿病を治療する上で、食事管理療法は血糖値を安定させ、合併症を予防するために重要です。
当院では、患者様一人ひとりの生活習慣や好みに合わせた食事療法の指導を行っています。
無理なく続けられる食事管理療法を、医師・管理栄養士など多職種でサポートします。
食事療法の基本
糖尿病の食事療法は、「適切な栄養エネルギー摂取量」「栄養素のバランス」を基に行います。
エネルギー摂取量の設定
- 患者様の年齢、病態、肥満度、身体活動量に基づいて、一日のエネルギー摂取量を設定します。
- 適切なエネルギー量の食事を続けることで、血糖値や体重のコントロールを目指します。
栄養素のバランス
炭水化物 | 摂取量は指示エネルギー量の40~60%とし、食物繊維を多く含む食品を選びます。 |
---|---|
タンパク質 |
摂取量は摂取エネルギー量の20%までとします。 ただし、糖尿病性腎症が進行している場合は、タンパク制限を行う必要があります。 |
脂質 | 指示エネルギー量の25%を超える場合は、質のよい脂質(不飽和脂肪酸)を選ぶようにしましょう。 |
具体的な食事のポイント
3食の炭水化物量を均等に
1日に摂取する炭水化物量を、3食に分けて均等に配分することで、血糖値上昇をゆるやかにすることができます。
ゆっくり食べる習慣
食事を急いで食べると血糖値が急上昇しやすくなります。対して、時間をかけて食べることで血糖値の上昇がゆるやかになり、血糖コントロールがしやすくなります。よく噛むことを意識して、1回の食事時間は20分以上かけられるとよいでしょう。
食べる順番
野菜・海藻・きのこ類などの食物繊維の豊富な食品を先に食べ、ご飯・パン・麺類などの炭水化物を後に食べるようにしましょう。
食べ方を工夫することで、食後急に血糖値が上がるのを防ぐことができます。
食品の選び方
低GIの食品を選ぶとよいでしょう。
GIとは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、ある食品を摂取した後の血糖値の上がりやすさを示す指標です。
GI値が低いほど、その食品を食べた後の血糖値の上がりがゆるやかになります。
主食や間食にGI値の低いものを選ぶことで、食後の血糖を上がりにくくすることができます。
具体的には、白米よりも雑穀米や玄米、白い食パンよりも全粒粉パン、うどんよりも蕎麦など、精製されていない食品を選ぶようにしましょう。
塩分やアルコールの量にも注意
高血圧の発症を予防するためにも、塩分の量にも気を付けられるとよいでしょう。塩分の1日摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満が勧められています。味の濃いものは控えて、薄味を意識しましょう。
また、アルコールの量にも注意が必要です。アルコール量で1日25g以内の適量の範囲にとどめて、休肝日を作るようにしましょう。
管理栄養士によるサポート
当院では、管理栄養士による栄養指導を行っています。患者様の生活スタイルや食習慣に合わせたて、食事に関する具体的なアドバイスを行っています。
まず、普段の食事内容の聞き取りを行います。
そして、一人ひとりの生活状況に合わせて、実践可能な内容を患者様と一緒に相談しながら、行動目標を決めていきます。
ご自身で調理される方には、適正な量や味付け、食材の組み合わせなどをお伝えしています。
ご自身で調理されない方には、外食や中食での店やメニューの選び方、栄養成分表示の見方などをお伝えしています。
継続可能な食事療法のコツ
・普段の生活の中で、できることから始めることを提案しています
・普段の食事は気を付けながら、たまの行事やイベントは楽しむなど、メリハリをつけるようにしましょう
・毎回の食事も大切ですが、1食の内容にとらわれず、時には1食ではなく、1日、3日、1週間など長い期間で調整する視点も持てるとよいでしょう
よくある質問(Q&A)
- 間食は避けた方がいいですか?
- 糖尿病の方は、できれば間食は避けるようにしましょう。どうしても食べたい場合は、食事とセットにして、量は少量に留めましょう。やむを得ず食事と食事の間に食べるときは、低糖質の食品や栄養がとれる食品を選ぶようにしましょう。
- 糖尿病だと甘いものを食べてはいけないのですか?
- 食べてはいけないというわけではありませんが、血糖値に配慮して、食べる量やタイミングには注意が必要です。
- 外食が多い場合、どうしたらいいですか?
- 外食の場合も、店やメニューの選び方を工夫することで食事療法を行うことができます。また、栄養成分表示の見方を覚えることで、メニューの選び方に活かすことができます。外食は全体の食事量や塩分の量が多い傾向があるため、ご飯の量を調整する、味の濃いものを避けるなどの工夫が必要です。また、食事にかける時間や食べる順番を工夫できるとよいでしょう。
糖尿病の食事管理は、生活を見直すチャンス
糖尿病の食事管理は、単なる制限ではなく、健康的なライフスタイルへの第一歩です。
当院では、患者様の目標や状況に合わせて、無理なく続けられる方法を提案します。
糖尿病の食事管理に関するご相談は、ぜひ当院にお任せください。
管理栄養士と医師がチームでサポートし、健康的で快適な生活をお手伝いします。