糖尿病とは

糖尿病は、血液中にブドウ糖(血糖)が高濃度に存在し、血糖値が高い状態(高血糖)が持続する慢性疾患です。この高血糖状態が長期間続くと、全身の血管など損傷を与え、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。そのため、血糖値をコントロールし、合併症を予防することが治療の主な目的です。
糖尿病には大きな特徴があります。それは「はじめは自覚症状がほとんどない」ということです。このため、自分が糖尿病であると気づかないまま過ごしてしまう人が多くいます。さらに、診断を受けても症状がないために通院を中断するケースも見られます。この病気は「サイレント・キラー」と呼ばれ、気づかないうちに健康を蝕む恐ろしい病気です。結果として、心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎不全、網膜症、神経障害、悪性腫瘍などの重篤な合併症が発症し、平均寿命を10年ほど短くしてしまうことがあります。
糖尿病は早期発見と治療が重要です。初期段階で適切な治療を開始することで、その後の健康状態を良好に保つことが可能です。自覚症状がなくても、定期的な検査と診察を受けることが、健康維持の鍵となります。
血糖値とは?

血糖値は、食事によって摂取されたブドウ糖が血液中に入り、その後膵臓から分泌されるインスリンによって細胞に吸収されることで調整されます。健康な人の血糖値は通常80~140mg/dlの範囲に維持されています。
しかし、糖尿病患者の場合、インスリンの分泌不足や作用低下(インスリン抵抗性)により、血糖値が高い状態が続きます。
例えば、健診で高血糖を指摘された患者の血糖値を調べると、食後に350mg/dlまで上昇することがありますが、それでも症状が出ない場合があります。
糖尿病の種類と原因
糖尿病は主に1型と2型に分類されます。日本では糖尿病患者の約95%が2型糖尿病に該当し、遺伝要因と生活習慣の乱れが主な原因とされています。一方、1型糖尿病は遺伝よりも自己免疫の異常やウイルス感染が主な原因とされ、突然発症することが多い病気です。
1型糖尿病
インスリンを分泌する膵臓の機能が破壊され、インスリン注射が必要となる病気です。特に小児期に発症することが多く、周囲の理解不足から治療を継続することが困難になる場合もあります。
2型糖尿病
生活習慣病の一つとして数えられ、「過食」「肥満」「運動不足」「ストレス」などが発症リスクを高めます。ただし、すべての糖尿病患者が不健康な生活を送っているわけではなく、遺伝的要因が強いケースもあります。
糖尿病の危険度セルフチェックリスト
以下の項目に該当する場合、糖尿病のリスクが高まります。5つ以上該当する方は、早めに専門医にご相談ください。
- 40歳以上の男性、または50歳以上の女性
- 家族や親戚に糖尿病患者がいる
- 太り気味(BMI25以上)、または最近体重が増えた
- 喉が渇きやすい
- 食べても体重が減る、または急激に痩せた
- 健康診断で尿糖を指摘された
- 健康診断で高血糖、HbA1c異常を指摘された
- 尿の臭いや回数の変化が気になる
- 全身のだるさや疲労感が強い
- 甘いものやジュースを頻繁に摂取している
- 運動習慣がない
- 手足のしびれ
- 視力の悪化があり眼科で糖尿病の可能性を指摘された
糖尿病は早期発見が肝心です。専門機関での診察をお勧めします。