糖尿病と蛋白尿の関係性

蛋白尿とは?
蛋白尿は、通常は体内で利用される蛋白質が、何らかの理由で尿中に排出される状態を指します。
蛋白質は筋肉や臓器、肌、髪、爪などを構成する重要な成分であり、免疫やホルモン、栄養の運搬といった体内のさまざまな働きにも関与しています。
腎臓が正常に機能している場合、蛋白質は尿中に排出されません。
しかし、糖尿病などの疾患で腎臓に異常が生じると、蛋白質が尿に混ざり込むようになります。
糖尿病が原因で蛋白尿が起きる理由
糖尿病により蛋白尿が生じるのは、高血糖が腎臓に大きな負担をかけるためです。
高血糖の影響
糖尿病は、インスリンの作用不足や抵抗性により血糖値が持続的に高くなる病気です。
この慢性的な高血糖が毛細血管を損傷し、腎臓内の「糸球体」という血液を濾過する部分に影響を及ぼします。
糸球体の損傷
糸球体は腎臓内で濾過の役割を担う毛細血管の集まりです。
糖尿病が進行すると、このフィルターが正常に機能しなくなり、通常であれば再吸収されるべき蛋白質が尿中に漏れ出してしまいます。これが蛋白尿の原因です。
糖尿病以外の蛋白尿の原因
IgA腎症 | 免疫グロブリンA(IgA)の異常沈着により腎臓に炎症が生じ、蛋白尿や血尿が見られます。 |
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ネフローゼ症候群 | 腎臓の機能に障害が発生し、大量の蛋白尿が排出される疾患。 |
血管炎 | 血管の炎症が腎臓の糸球体に影響を与え、蛋白尿や血尿の原因となります。 |
高血圧 | 持続的な高血圧が腎臓の血管にダメージを与え、蛋白尿を引き起こすことがあります。 |
肥満 | 体重の増加による腎臓への負担や脂肪細胞から分泌される物質の影響で蛋白尿が発生します。 |
起立性蛋白尿 | 立ったり動いたりすることで一時的に蛋白尿が生じる状態。特に若年層に見られることがあります。 |
糖尿病による蛋白尿を放置するとどうなる?
糖尿病性腎症の進行 | 腎臓の機能がさらに悪化し、最終的には透析治療や腎臓移植が必要になる可能性があります。 |
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心血管疾患のリスク増加 | 腎臓が老廃物を十分に排出できなくなると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇します。 |
初期の段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断で蛋白尿を指摘された場合は、できるだけ早く医療機関で検査を受けることが重要です。
糖尿病に由来する蛋白尿の改善方法
食事療法
- 塩分を控えた食事で腎臓の負担を軽減。
- 高タンパク質の食事を避け、適切な栄養バランスを心がける。
運動療法
- 軽い有酸素運動を取り入れ、血糖値を安定させる。
薬物療法
- 医師の指示に従い、血糖値や血圧を管理する薬を使用。
早期の検査と治療を
蛋白尿は糖尿病の進行や腎機能の低下を知らせる重要なサインです。
症状が軽い段階で適切な対応を取ることで、合併症のリスクを大幅に軽減できます。
健康診断で異常が見つかった場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、必要な検査を受けましょう。